老後2000万円不足する問題
金融庁のレポート名称は、
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」です。
金融庁のレポートは、金融庁のホームページより入手できます。
このレポートは、金融審議会 市場ワーキング・グループによって作成されました。
緑色の枠内は、このレポートからの引用です。
近年、金融を巡る環境は大きく変化している。例えば、デジタライゼーションの急速な進展により、金融・非金融の垣根を越えて、顧客にとって利便性の
高いサービスを提供する者が出現している。
こうした者の出現や低金利環境の長期化等の状況と相まって、金融機関は既存のビジネスモデルの変革を強く求められている状況にある。(p.1)
このレポートの『はじめに』の最初のフレーズです。
こうした者の出現と金融機関との対比が、金融庁のスタンスを如実に物語っています。
また、いわゆる「失われた 20 年」と呼ばれる経済停滞の中、勤労者の収入等は伸び悩むとともに 少子高齢化による人手不足などを背景として就労期間が延長されつつあるなど、就労環境も大きく変化している。 (p.2)
この現状認識は、当然財務大臣のレポート受け取り拒否に繋がります。
(2)収入・支出の状況
ア.平均的収入・支出
わが国では、バブル崩壊以降、「失われた 20 年」とも呼ばれる景気停滞の中、賃金も長く伸び悩んできた。
年齢層別に見ても、時系列で見ても、高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下傾向となっている。
公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、
税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれる。
(p.8)
この現状認識は、当然財務大臣のレポート受け取り拒否に繋がります。
ライフステージ別に、長期・積立・分散投資等による資産形成や資産管理の重要性を述べてきた。(p.43)
長期・積立・分散投資ならば、金融の先端知識や手間はほとんど必要ない。(p.43)
このレポートが勧める財産形成の手法は、NISA、積み立てNISA、iDECO です。
積み立てNISAでは、信託報酬が低く、販売手数料もノーロード(0円)の低コスト商品で
毎月分配型でない投資信託を対象商品としています。
運用益を非課税にすることでお得感を訴えています。
【付属文書2】高齢社会における金融サービスのあり方
顧客本位の業務運営の徹底
「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定されて2年が経過し、各金融機関等の取組みも進展してきたが、販売担当といった現場レベルには必ずしも十
分に定着していないといった厳しい指摘も行われている。今後の更なる改善に向けて、今一度、各金融サービス提供者は顧客本位の業務運営とは一体何なの
か、突き詰めて考える必要があるといえる。
そして、顧客へのサービス提供にあたり、
・ 顧客の状況からみて、過度にリスクの高い商品の販売を行わない等、顧客にとってふさわしいサービスを提供すること
・ 手数料の明確化
・ リスクやリターン等を顧客が自ら判断できるようにするための分かりやすい情報提供
等について徹底していく必要がある。(p.44)
持続可能な金融サービス
顧客本位の追求は、持続可能な金融サービスの提供と同時に実現されるべきものである。
金融サービスもビジネスである以上、顧客の利用しやすさにも配慮した適切な対価を得ることは正当なことである。
対価を開示し、コストとサービスを踏まえ適切であることを顧客に対して説明し納得してもらうことも顧客の信頼を勝ち取るポイントの一つであるだろう。(p.43-44)
手数料が明確でない商品を販売しているのは、大きな問題です。
『購入して5年放置していたら、1.5倍になりました』という商品があれば嬉しいのですが、
そのような時代ではないようです。
そして、3年後に購入時と同じ価格で売却する。(不幸にも値上がりしませんでした)
為替レートは、購入時と同一とする。
さて、いくら戻ってくるでしょうか。
この質問で、対象商品の手数料が浮かび上がります。
公的年金の水準が、今後調整されていく見込みの中、長寿化に応じて、資産寿命をどう延ばしていくか、 個々人の資産の形成・管理での心構えの一つとして「自助」の充実について述べた。(p.45)
『公的年金の水準は、今後調整されていくから、1世帯あたり、2000万円を「自助」で資産形成していこう。』の
部分が、財務大臣のレポート受け取り拒否に繋がりました。
金融庁としては、地方銀行や証券業界の顧客離れを心配し、『もっと投資信託を買おう』キャンペーンを
仕掛けたかったのではないかと想像しました。
しかしながら、このレポートには地方銀行や証券業界への改善や提案が含まれています。
単純に『もっと投資信託を買おう』ではなく、『買っちゃいけない投資信託』にも注意を呼びかけています。
また、商品・サービスの「見える化」も重要である。顧客が自らのニーズに応じて商品・サービスを選択する際に、また金融サービス提供者が顧客に対して商品・サービスを説明する際に、その商品・サービスがどのような内容であるかが容易に理解できること・理解してもらうことが重要で ある。商品・サービスが多様化すればするほど、顧客が適切な選択を行うことが困難となり、顧客のもとに本当に必要な商品・サービスが届かない、 というパラドックスが起こり得る。(p.46)
複雑怪奇な商品が多数開発されて、『結局、どれを買えばいいの』に、売り手・買い手ともに迷ってしまうようです。
例えば長期・積立・分散投資等を提案することなどにより、長期的な取引関係につなげることが重要ではないだろうか。(p.48)
人生のいろんな場面で顧客に役立っていくのが長い目でみたら金融サービス提供者の利益になるので、 個々人の資産の形成・管理では短絡した利益追求をおこなわないでね、ということでしょう。